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生存費(国民の生存権を確実に保障するためには?)

国民の生存権を確実に保障するためには?

要点

1.国は国民全員に生活に必要な最低限の金銭(生存費)を支給する。
 1-1.個人単位とし、保護者が必要無い全ての人に支給する。
 1-2.保護者が必要な人には「保護費」を保護者に支給する。
 1-3.現物給付は行わない。
 1-4.「生存費」は生活の質(QOL)を考慮して決定する。
 1-5.例外として、「雇用税」を納めていない企業に勤めていたら、
     たとえ「雇用税」を納めている企業にも勤めているとしても、
     原則として、その人には「生存費」は支給しない。
     ただし、「総収入」が「生存費」以下である場合に限り、
     「生存費」と「総収入」の差額を支給する。
2.財源は税金とする。
 2-1.企業は雇用者一人当り一定の金額(雇用税)を国に納める。
    (「雇用税」は旧制度の給与最低限度額に相当する額)
    (外国企業などに「雇用税」を納めない例外を認める。)
 2-2.企業は収益から「雇用税」を引いた額に応じて税を納める。
    (「雇用税」を納めない例外企業は収益に応じた額の税金)
 2-3.国民は食料品以外の商品購入時に消費税を納める。
 2-4.国民はその年度ごとの収入額を申告し、
     高額所得者からはその所得に応じて所得税を納めてもらう。
    (申告に虚偽があった場合は罰金を納めてもらう。)
 2-5.「雇用税」を納めることになっている企業は、
     「雇用税」を納めずに雇用してはいけない。
    (違反した場合は、納めなかった「雇用税」を徴集する。)
 2-6.「雇用税」を納めないことになっている企業は、
     雇用している者について、それぞれの給与額を申告する。
    (労働者への「生存費」の支給を停止・減額するため。)
    (申告に虚偽があった場合は「雇用税」に相当する額の罰金)
 2-7.「雇用税」を納めない企業に勤めている者は、
     「生存費停止・減額届け」を提出する。
    (提出せずに「生存費」を受け取った場合は、
     「総収入」が「生存費」を下回らない限度で、
     「生存費」に相当する額を罰金として支払う。)
3.国民の給与の最低限度額は1円とする。
 3-1.「雇用税」を納めている企業のみに適用する。
 3-2.「雇用税」を納めていない企業の給与最低限度額は、
     「生存費」もしくは「雇用税」以上の額とする。
    (労働者の同意が得られた場合は例外とする。)
4.支給された「生存費」の使い方は個人の判断に任せる。
5.外国人労働者には「生存費」を支給しない代わりに、
  給与の最低限度額を適当な額に定める。
  また、外国人労働者を雇った企業は、
  その労働者一人当り、その最低限度額分の税を免除する。
 (この最低限度額は旧制度の給与最低限度額に相当する額)

(すなわち、これまでの仕組みと比較すると、
 企業などから支払われていた給与の最低限度額分を給与から天引きし、
 その代わりに国からその最低限度額分を「生存費」として支給する。
 言い換えれば、企業は人件費の一部(生存費分)を国に支払い、
 国から国民にその人件費(生存費)を支給するのである。
 生活保護など社会保障費で賄われていた給与収入がない人の分は、
 企業収入や最低限度額以上の収入があった人の税金を財源として、
 国から最低限度額分を「生存費」として支給する。
 生活保護のように申請しなくても全ての国民を保護するのである。
 全ての国民が対象なので選別主義ではなく、究極の普遍主義である。
 そして、これは救貧対策ではなく防貧対策ということになる。
 現物給付は質の確保が難しく価値観の多様化に反するので行わない。
 一人当りの収入はほとんど変わらないので、
 物価はこれまで通りで、企業の収益もこれまで通りである。
 働いた人の方が収入が多いこともこれまで通りである。
 これまでは働いた人の方が収入が少ない逆転現象があったが、
 私のアイデアでは逆転現象は生じ難くなる。
 外国人労働者に関してはこれまでの制度のままである。)

効果

1.誰もが生活に必要な最低限の収入を得られる。(選別主義ではない)
2.生活保護法と異なり、申請しないことによる困窮者が出ない。
3.集団で生活すると世帯単位では収入が増える。
 (旧制度で世帯の複数の人が働いている状態に同じ。)
4.労働していなくても劣悪な集団生活(世帯・家庭)から離れられる。
5.労働の目的が「生存」から「生活の潤い」や「自己実現」に変わる。
  また、「社会貢献」としての意味合いも強くなる。
6.劣悪な職場環境から離れやすくなる。内部告発もしやすい。
7.現在の社会保障制度に関する様々な問題点を解消できる。
 7-1.生活保護制度では、
     最低生活費以下の年金を受給している人と、
     全く年金を受け取れない人の総収入が同じである。
 7-2.生活保護制度では、
     最低生活費以下の労働収入しかない人は、
     全く働いてない人よりも少ししか総収入が増えない。
    (総収入の増加量は労働収入額よりも小さくなる。)
 7-3.生活保護制度では、
     現在の貯金を使い果たす必要があり、新たに貯金できない。
     売れるパソコンは売らなければいけなく、
     車は維持費がかかるので原則的には持たせてもらえない。
     50CCのスクーターも認められないことがあるらしい。
     生命保険も解約しなければいけないらしい。
     ローンでの買い物もできないらしい。
     家電製品を持たせてもらえないこともあるらしい。
     クーラを新しく変えないらしい。(すでにあるものは可)
     おそらく、インターネットも利用できないことがあるだろう。
     すなわち、申請時以上に苦しむことを要求される。
 7-4.資産を使い果たすことが要求されるので、
     自分の力で生活しようとしても、ハードルが高くなる。
 7-5.生活保護制度では、
     預貯金や手持ち金など様々な個人情報が調査される。
     身内のことも調査しようとする。

課題

1.支給された金銭を適切に使用できずに困窮する人は?
 (そのような状況を確認後に限定的に現物給付を行ったらどうか?)
 (生活保護法には「義務」があるようだけど…。)
2.支給最低年齢(保護者不要になる年齢)をどうするか?
 (保護者が必要な障害者は年齢に関わらず保護者に「保護費」を支給)
3.複数の企業に勤めた場合、旧制度よりも収入が減ることがある。
 (その分雇用税の税収が増えるようである。)
4.他の社会保障費との関係をどうするか?
 (生活保護、年金、雇用保険、児童手当、非共働き世帯優遇制度など、
  生活費を確保するための制度を「生存費」と「保護費」に統合し、
  障害・医療保障の制度だけ残したらどうか?)
 (生活保護制度では、
  年金受給者も無年金受給者も総収入が同じになる問題があった。)
5.外国人労働者の生存権の保障はあるのか?
 (憲法では外国人の生存権は保証されていない。
  しかし、生活保護が適用されることがある。
  日本人と区別する必要はあるが、
  「生存費」と同額の特別手当を支給する方法もある。)
6.外国に在住している日本人に生存権の保障はあるのか?
 (外国に在住している日本人に生活保護法は適用されているのか?
  現在の憲法下で適用されていないとしたら、
  「生存費」を国内在住の日本人に限ることができる?)
7.外国企業からも雇用税をとるか?
  また、外国企業で働く人の「生存費」や給与はどうするか?
 (雇用税をとらない方式で「生存費」を支給すると、
  外国企業に勤めた人の方が総収入が多くなる。)
8.日本企業に対しても雇用税の支払いを任意にしたらどうか?
 (その場合は、その企業に勤めている人に生存費を支給しない?)
9.雇用税を納めていない企業に勤めつつ生存費を受け取っている者を、
  どのように発見し、どのように対処するか?
 (労働者は、雇用税を支払っている企業に勤めるよりも総収入が高く、
  企業は、雇用税を支払わずに安価で労働者を雇えて利益が大きい。)

概念図

LM_fig1 LM_fig2

事例

      単位  
生存費一月200000
標準労働日数一月20
標準労働時間一日8時間
一月160時間
雇用税(一人分)
(雇用時間に応じて支払う)
一月200000
一日10000一月で25日雇用すると250000円/月
一時間1250一日で9時間雇用すると11250円/日
 
Aさん(X企業、月給)
給与一月20000
総収入一月220000
X企業が支払う雇用税一月200000
国の利益(雇用税-生存費)一月0
 
Bさん(X企業、時給)
労働時間一日8時間
労働日数一月25
給与一時間100
一月20000
総収入一月220000
X企業が支払う雇用税一月250000
国の利益(雇用税-生存費)一月50000
 
Cさん(X,Y,Z企業、時給)
労働時間(X企業)一月50時間
給与(X企業)一時間100
収入(X企業)一月5000
労働時間(Y企業)一月100時間
給与(Y企業)一時間10
収入(Y企業)一月1000
労働時間(Z企業)一月10時間
給与(Z企業)一時間200
収入(Z企業)一月2000
総収入一月208000
X企業が支払う雇用税一月62500
Y企業が支払う雇用税一月125000
Z企業が支払う雇用税一月12500
国の利益(雇用税-生存費)一月0
 
Dさん(X,W企業)
労働時間(X企業)一月50時間
給与(X企業)一時間100
収入(X企業)一月5000
労働日数(W企業)一月20
給与(W企業)一日10000
収入(W企業)一月200000
総収入一月205000
X企業が支払う雇用税一月62500
W企業が支払う雇用税一月0
国の利益(雇用税-生存費)一月62500
 
Eさん(X,W企業)
労働時間(X企業)一月50時間
給与(X企業)一時間100
収入(X企業)一月5000
労働時間(W企業)一月100時間
給与(W企業)一時間1500
収入(W企業)一月150000
国からの支給(生存費不足分)一月45000
総収入一月200000
X企業が支払う雇用税一月62500
W企業が支払う雇用税一月0
国の利益(雇用税-生存費)一月17500
 
Fさん(X,W企業、違反者)
労働時間(X企業)一月50時間
給与(X企業)一時間100
収入(X企業)一月5000
労働時間(W企業)一月100時間
給与(W企業)一時間1500
収入(W企業)一月150000
国からの支給(生存費)一月200000
総収入一月355000
X企業が支払う雇用税一月62500
W企業が支払う雇用税一月0
国の利益(雇用税-生存費)一月-137500
W企業の罰金(雇用税分)一月125000
Fさんの罰金(生存費余計分)一月155000
Fさんの罰金後総収入一月200000
国の最終利益一月142500


(2002年9月12日作成、2003年10月15日改訂)

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