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血縁上の父子関係がないことを知りながら認知した父が認知無効を訴えて認められた特殊なケース [メール投稿]

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#hanrei 血縁上の父子関係がないことを知りながら認知した父が認知無効を訴えて認められた特殊なケース。→「認知無効,離婚等請求本訴,損害賠償請求反訴事件」【事件番号「平成23(受)1561」平成26年01月14日最高裁第三小法廷】 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83877&hanreiKbn=02

 大橋正春裁判官の反対意見に過去の判決文からの引用があったので、メモしておく。
裁判官大橋正春の反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見と異なり,被上告人は上告人との間に血縁上の父子関係が存在しないことを理由として認知の無効を主張することができないと考えるものであり,その理由は以下のとおりである。
被上告人は上告人が自らの実子でないことを認識した上で自由な意思によって本件認知を行ったもので,本件は,不実であることを認識した上で自由な意思により認知をした父が反対の事実を主張して認知無効の主張をすることができるか否かが争点となっている事案であり,民法785条及び786条の解釈が問題となる。また,子その他の利害関係人が反対の事実を主張して認知の無効を主張できることは当然の前提となっているのであるから,本件で問われているのは,子その他の利害関係人のいずれもが認知の効力を争わない状況の中で,不実の認知をした父に血縁上の父子関係が存在しないことを理由に認知の無効を主張することを許すか否かという限定された問題ということになる。
大審院大正10年(オ)第857号同11年3月27日判決・民集1巻137頁は,傍論としてではあるが,民法785条及び786条と同一の内容を規定する昭和22年法律第222号による改正前の民法833条及び834条について,「民法833条は認知を為したる父又は母は其の認知を取消すことを得ずと規定し認知を為したる父又は母は任意に其の認知を取消すことを得ざると同時に認知が真実に反するの事由を以ても亦之を取消すことを得ざるものと為したり。従て同条は認知を為したる父又は母に其の認知が真実に反する事由を以て其の無効なることを主張することを許さざる趣旨なりと解するを得べし(片仮名を平仮名にし,原則として常用漢字表の字体とした)」と判示している(同趣旨を述べるものとして,大審院昭和11年(オ)第2702号同12年4月12日判決・大審院判決全集4輯8号16頁)。民法786条が認知に対して反対の事実を主張することができる者を子その他の利害関係人に限っていること,その反対解釈として認知をした父は反対の事実を主張することができないこと,したがって,同法785条は認知した父は認知が事実に反することを理由にその無効を主張することを許さない趣旨を定めたものであるとの上記大審院判決の解釈は,文理的にも無理のないものである。

 続いて反論に対する反論。
民法786条が反対の事実を主張できる者として父を挙げていない理由として,認知者自身が認知の無効を主張することが想定されていなかったにすぎないといわれることがあるが,同法785条が認知をした父自身が認知の効力を否定することがあることを前提にした規定であることを考えれば,立法者がこれを想定しなかったとは考え難く,同法786条が父を除いているのは立法者の明確な意思を示すものと理解すべきである。また,認知した父に反対の事実の主張を認めないことにより,安易な,あるいは気まぐれによる認知を防止し,また認知者の意思によって認知された子の身分関係が不安定となることを防止するとの立法理由には十分な合理性がある。
私は,法律の解釈は常に文理解釈によるべきであるとの立場をとるものではないが,条文の文言から大きく離れた解釈を採る場合には,これを正当化する十分な実質的な根拠が必要であると考える。

 で、今回のケースは認知無効にしたことで、認知された子の身分関係が不安定となることが明白なので、認めちゃダメだという意見。

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