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朝日新聞社、記事取り消し謝罪 吉田調書「命令違反し撤退」報道:朝日新聞デジタル を見て [メール投稿]

朝日新聞社、記事取り消し謝罪 吉田調書「命令違反し撤退」報道:朝日新聞デジタル
本社は政府が非公開としていた吉田調書を入手し、5月20日付紙面で「東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」と報じた。しかし、吉田所長の発言を聞いていなかった所員らがいるなか、「命令に違反 撤退」という記述と見出しは、多くの所員らが所長の命令を知りながら第一原発から逃げ出したような印象を与える間違った表現のため、記事を削除した

 そう解釈されたんだ。
 吉田所長が650人に命令するなんて有り得ないのに。
 結局、吉田所長は「2Fに行け」とは言ってないわけで、それでも約650人が2Fに行ったわけで、その経緯が知りたかった。吉田所長が結果として「2Fに行った方がはるかに正しい」と思ったということは、振り返ってみて自分が間違っていたことを認めているわけだが、では、正しい判断を下したのは誰なのか? 約650人が自主的に退避したのか、誰かが「2Fに行け」と正しく指示を出したのか、誰かが指示したとしたら、それは誰なのか?

吉田調書をめぐる朝日新聞社報道 経緯報告:朝日新聞デジタル
 5月20日付朝刊では「本当は私、2F(福島第二原発)に行けと言っていないんですよ。福島第一の近辺で、所内にかかわらず、線量が低いようなところに1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、2Fに着いた後、連絡をして、まずはGM(グループマネジャー)から帰ってきてということになったわけです」と証言を引用した。

 だが、調書の原文では「2Fに行けと言っていない」の後に「ここがまた伝言ゲームのあれのところで、行くとしたら2Fかという話をやっていて、退避をして、車を用意してという話をしたら、伝言した人間は、運転手に、福島第二に行けという指示をしたんです」との証言があった。

 さらに「よく考えれば2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです」との発言も紹介しなかった。


 結局、伝言ゲームのようなもので、伝言した人間が誤解して「運転手に、福島第二に行けという指示をしたんです」ということだったんだな。それ以前の「行くとしたら2Fかという話」をしていたことが、伝言した人に先入観を与えてしまったようだ。
 ここでの教訓は、トップの指示が正しく伝わるとは限らないということ。
 2Fに退避することで所員の安全は守られるが、すぐに戻れないデメリットもあるわけで、それを含めて、吉田所長は「2Fに行った方がはるかに正しい」と振り返ったわけだな。実際、退避させずに残した人もいて、緊急で必要なのはその人たちだけだったのかもしれないし。

 とにかく、吉田所長が「全面撤退」を決定したわけじゃないことは5月20日付朝刊で分かったので、「全面撤退」がどこから出てきたのかが事故当時からの争点なんだよね。菅直人首相は「全面撤退するつもり」と解釈して反対したのだが、吉田所長は「全面撤退するつもり」はなく、そのような指示は出してない。その間にいた人たちのどこかで、官邸が誤解するような発言があったのだろうな。

政治家・専門家の調書概要〈1〉 福島第一原発事故:朝日新聞デジタル
 ■海江田万里・元経産相 「事業者任せでいいのかと反省」

 当時、経済産業相だった海江田万里・民主党代表は事故直後、首相官邸に詰めて、菅氏らと対応にあたっていたが、東京電力本店などとのやりとりには混乱が生じていた。

(中略)
 14日夜から15日未明にかけ、東電が全員撤退を申し出たかどうかをめぐる清水元社長とのやりとりも詳細に語っている。当時、清水社長から受けた電話の内容について、「僕が覚えているのは『撤退』という言葉ではない。『退避』という言葉。第一発電所から第二発電所へ退避させたい」と語った。

 海江田氏は、東電が退避を考えていることを、すぐに菅氏と枝野氏に伝えた。その時の退避の認識について「僕は全員だと思った」という。吉田氏が現場から離れるつもりはなかったことについては、官邸に「伝わっていないですね」としている。実際、この後、東電への不信感から、菅氏らと東電本店に乗り込んだ。


 どうやら、海江田万里・元経産相から菅氏と枝野氏に伝言する時に「退避」が「撤退」になったようだ。「僕は全員だと思った」ということだから、ここで「全面撤退」になったのかも。ここで「退避=撤退=全面撤退」と解釈され。「撤退」という言葉でそれらの全てを表現するようになったのかもしれない。その後に「撤退」という言葉で意思疎通してもすれ違いそう。

政治家・専門家の調書概要〈1〉 福島第一原発事故:朝日新聞デジタル
 ■枝野幸男・元官房長官 「東電社長、全面撤退求めた」

(中略)
 枝野氏は、東電側が「一部撤退」と主張し、官邸側と証言が食い違う11年3月14日夜から翌未明にかけての原発作業員の撤退問題について、東電の清水元社長から撤退の了承を求める電話があったことを認めたうえで「間違いなく全面撤退の趣旨だったと、これは自信があります」と証言した。「ほかの必要のない人は逃げますという話は、別に官房長官に上げるような話ではないですから。勘違いとかはあり得ないですね」と述べた。


 枝野幸男・元官房長官は直接東電の清水元社長からの電話を受けてないのではないか? 海江田万里・元経産相が電話を受けて枝野氏に伝えたのではないか?

政治家・専門家の調書概要〈1〉 福島第一原発事故:朝日新聞デジタル
 ■菅直人・元首相 「視察、現場と話すため」

(中略)
 撤退問題では、東電側の意向は全面撤退と受け止めていたと繰り返し強調した。3月15日未明、官邸で海江田万里元経産相と枝野幸男元官房長官から、東電が撤退の意向を打診してきているとの報告を受けたという。「経産大臣やほかのメンバーもそういう(全面撤退との)認識だった」といい、その場で「全部放棄することはできない」との意見で一致した。

 東電の清水正孝元社長を官邸に呼んで面会した際、菅氏が清水氏に撤退を認めない旨を伝えると反論はなく、「やはり(全面撤退と)思っていたんだなと思う」と当時の感想を述べている。直後に本店に乗り込み「撤退したら東電はつぶれる」などと社員を前に発言したことを明かし「それ以来、撤退の話は全く聞かなくなった」と自賛した。


 清水正孝元社長に何と言ったか分からない(「撤退は認めない」?)が、確認方法がまずかったかもね。清水正孝元社長が「全面撤退」と考えていたことが前提になっているが、直接聞いたわけではなく、海江田万里・元経産相からの伝言だったとしたら、「全面撤退するというのは本当か?」という感じで聞いた方が良い。それで「そんなことはしない。撤退ではなく退避だ。全員ではなく必要な人数だけ残して他は1Fから2Fへ退避させるつもりだ。」という趣旨の反論が返って来たなら、「全面撤退ではない」と分かっただろう。清水正孝元社長がそのように反論しないようであれば、清水正孝元社長も「撤退=全面撤退」と考えていたと思われても仕方がない。
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