2004年7月31日の独り言:「証言・ハンセン病 もう、うつむかない」(村上絢子、筑摩書房)を読んだ感想 [メール投稿]
独り言(2004年3月)
2004年3月29日
『ハンセン病の証言集め本に』(29日朝日新聞12版38面)
「証言・ハンセン病 もう、うつむかない」(村上絢子、筑摩書房)。
いつか読んでみたい。
---(以下6月14日に追加)---
本日、この本に関して匿名でないメールが届きました。(^_^;)
「三刷決定」だそうです。(^_^)
情報、有り難うございました。m(_ _)m
---(以下7月31日に追加)---
ようやく読み終えた。
読む価値のある本だと思う。
本屋で見掛けて「はじめに」を読んだだけで、
「読みたい」と思うだろう。少なくとも、私はそう思った。
全部で約300ページの厚い本だが、
体験談ごとに分かれていて、各体験談が約10ページだから読みやすい。
最初から読んでもいいが、
ぱらぱらと捲って目に止まった写真の方の体験談を読んでもいいだろう。
小学校の生徒一人一人に誰か一人の体験談を読んでもらって、
クラスでみんなに説明したり、話し合ったりしてもいいかも…。
このような体験談、直接聞きに行ける人は少ないけれど、
このように本になっていれば、聞きに行けない人も知ることができる。
新聞等では簡単にしか書かれていないことを詳しく知ることもできる。
とても価値のある本だと思う。
私は読みながら精神障害者に対する国の政策と重ねてもいた。
隔離されている精神病患者の「処遇改善」のために活動している人は、
155ページ〜156ページの次の言葉を心に刻んでほしい。
裁判の中盤に証人として立った大谷藤郎先生は、たとえ「患者のために善かれ」と思って行ったことでも、
厚生省の国立療養所課長、医務局長を歴任し、
ハンセン病行政のトップにいた人です。
下手すると、自分のやったことに対して責任を問われかねない
という危惧もあったはずです。(中略)
迫力があったのは、
「予防法が存在していても、
患者さんのためにと思って、まず処遇改善に努力をした。
しかし、その努力が結果として隔離政策を続けてしまった。
これを見逃したのは間違いだった」
とはっきり自己批判した点です。
先輩のやったことに対して、できるだけ傷つけないように言葉を選び、
嗚咽しながら答えていました。
隔離政策そのものが間違いだったのである。善くなかったのである。
そして、精神障害者に対する隔離政策も間違いである。善くない。
それから、精神医療の改善のため厚生労働省との交渉に一所懸命な人達、
238ページの次の文章を読んで自分達を振り返ってほしい。
考えてみると、全患協という全国組織ができてから約二年で、社会に積極的に働きかけ、世論を動かすことが大切。
社会への働きかけが非常にお粗末だった。
また厚生省との交渉に一生懸命で、
マスコミに訴えるという意識もなかったし、そこまで手が回らなかった。
新聞社は取材に来ないし、来ても、記事にならなかった。
だから地域や社会に広がりをもてなかった。
隔絶された十三カ所の国立療養所の闘争は孤立無援で、
「線」でつながらず、まるで「点」だけで終わってしまった。
最近の政府を見ると世論を無視する傾向が強いが、
それでも、世論を味方にした方が良い。
この本にはハンセン病患者に対して行われた残虐な行為が描かれている。
ハンセン病患者に対する差別や偏見など国民の醜い行為が描かれている。
人はあんなにも残虐になれるのである。
同じことを二度と繰り替えしてはならない。
自分の中に潜む醜い心を戒める良心を身に付けなければいけない。
ハンセン病に限らず、全ての当事者支援に共通すること。善意に基づく安易な妥協がもたらした害と、世論を動かすことの大切さ。
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